2004/5/12 「お荷物小荷物」情報追加!

佐々木守関連作品

「お荷物小荷物」(1970 TV)

 男ばかり7人家族の運送屋に殴りこみをかけるお手伝い、田の中菊(中山千夏)。実は彼女は沖縄出身。姉の復讐を果たすため一家に乗り込んできたのだ。当時歌に演技に政治にノリまくりの中山千夏が、軍国主義と家父長制の象徴のような一家を相手に琉球拳法とお色気で大暴れ!!
 そのストーリーもさることながら、突然スタッフや見学者が登場したり、役者が自分自身に戻ってしゃべりだしたり、アドリブもNGもOKの過激な実験演出(ゴダールの影響と言われる)が続出。
 しかしそこが受けてしまうのが過激な70年代。関西では視聴率36%を記録し、後に「必殺」を手がける大阪朝日放送・山内プロデューサーの出世作となった。
 翌年には同じく中山千夏が今度はアイヌの末裔のお手伝いさんを演じる「カムイ編」も放映された。

 僕の地方ではやってなかったのか、ほとんど見た記憶がありません。現存しているのは沖縄編最終回のビデオのみらしいです。ちなみに同じ佐々木・山内コンビの新感覚(?)時代劇「快刀乱麻」(1973)はよく見てましたが、それも最終回しか残ってないそうです。当時のビデオテープは非常に高価だったそうで・・。


 *ファンの方からの情報*(04/05/12)
 「お荷物小荷物」パート1の最終回は現存しており、 横浜・関内にある放送ライブラリーに保存されているとのこと。情報提供、ありがとうございました!

「アイアンキング」(1972 TV)

 ご存知、和製インディージョーンズぽい静弦太郎(石橋正次)が、巨大ヒーロー・アイアンキング(浜田光夫)そっちのけで大暴れする異色特撮アクション。日曜夜7時のタケダアワーにおける最後の特撮番組となってしまった本作は、当時のトップスター石橋正次をキャスティングするという、恐ろしく画期的なものだったが、裏のマジンガーZに敗れた。
 3つ出てきた敵のうち、最初に出てきた不知火族は、かつてヤマト民族に滅ぼされた民族という設定で、日本政府のこともヤマト政府と呼んでいた。また、弦太郎たちと行動を共にしてきたゆき子(森川千恵子=真樹千恵子=仮面ライダーの緑川ルリ子)は実は不知火族であり、彼女の口から不知火族の立場を弁護する場面などもあった。

 このHPの「はじめに」でも書きましたが、僕が「佐々木守」を意識するきっかけになった作品です。以前「映画秘宝」の「夕焼けTV番長」に佐々木センセイのインタビューが載ってましたが、やはりゴールデンで子供向け、ということもあって、ストレートに被抑圧民族の話をやれないと判断したので、あえて「悪者」で登場させたようです。しかし、ゆき子が非業の死を遂げた後、草原を馬で駆る弦太郎のショットでそのままエンディング(名曲です)になだれこむ、という演出は明らかに子供番組の域を超えていました。(実は僕は個人的には、まったりしてるタイタニアン編もけっこう好きだったりしますが・・)
 また、石橋正次は、番組終盤でどさくさにまぎれて持ち歌(お嫁にもらおう)を唄いまくりますが、その点は「三日月」のエバ(麻理子)にも通じるところが・・。


 DVDボックスが発売中。ビデオも比較的簡単にレンタル屋さんで見つけることができます。

「ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説」(1990 劇場映画)

 次々と謎の死を遂げる遺跡の盗掘者、そして不動産屋。事件を調べるテレビマン・万城目(柴 俊夫)たちは、背後に常世信仰を持つ人々の存在があることを知る。そして万城目の同僚・浜野(堀内正美)も失踪、九州の古墳には怪獣が現れて・・。

 実相寺=佐々木の黄金コンビによる夢の「ウルQ」SP! ・・になるはずが、出雲族=海洋民族、環境問題、そして宇宙人と、ネタを詰め込みすぎたせいか、物語としての盛り上がりはいまひとつ、といった感じ。全編実相寺カットが炸裂しているはずなのだが、往年のようなラジカルさが感じられないのは、やはり物語とシンクロできなかった(あるいはしちゃった?)せいか。
 浜野の失踪,、そしてその探索で、横浜→伊豆→丹後とたどるあたりは、「三日月」のリメイクそのもの。また、一の谷博士を中山仁が演じているが、TVシリーズの江川宇礼夫の持っていたブキミ感、いかがわし感が損なわれてしまっていた。

 ちょっとしたレンタル屋さんに行けば、あります。たぶん。


「竜宮城はどこですか」(1998 小説)

 中学一年生の俊の姉・真弓がある日、「竜宮城にいってきます・・・」という置手紙を残して失踪。その探索のなかで、同じく失踪した兄を探す少女・由香と出会う・・。

 すでにご存知のとおり、「三日月情話」のジュヴナイル版です。昼メロとちがって、中学生同士のほのかな恋や、俊の学校の先生と由香の兄とのエピソードもありますが、「三日月」を見慣れた人にとってはちょっと物足らないかも。ちなみにこの作品でも横浜→伊豆→丹後ルートは健在です。また、彼らの行く手をはばむ、謎の学生服軍団なんかも出てきます。一度お読みになってみるのも一興かと・・。

 大手書店、図書館などにあるようです。Amazonで購入できます。(くもん出版 1500円)

「三日月情話」(ノベライズ版 1976年)

TV放映と同時に出版された、佐々木守自身の手による「幻の」ノベライズ版。
詳細はこちら

    
その他関連作品

「ヤマタイカ」(星野之宣 1987 コミック)

 冒頭、いきなり復活した戦艦大和が、沖縄嘉手納基地を46センチ砲で粉砕! 一体何が・・?
 それにさかのぼること一年。沖縄・久高島に生まれた伊耶輪神子(いざわ・みわこ)は、邪馬台国の女王・卑弥呼(フィミカ)の霊力を受け継ぐ。彼女の強大な霊力の背景には、北海道出身の考古学者である父・熱雷草作(あたらい・そうさく)の血と、沖縄出身の母の血の力があった。つまり2000年前、南北に追われた縄文人の血が彼女のなかで再統合したのだ。彼女は、日本人の中に眠る縄文人の血を呼び覚まし、60年に一度の巨大なマツリ「ヤマタイカ」をはじめようとする・・。
 彼女に敵対するのは、大陸渡来の弥生人であり、大和朝廷の守護を任じる謎の仏教僧集団・四天王。大和朝廷安寧の象徴たる奈良の大仏をめぐる暗闘がはじまるが、実は大仏こそ、古代に縄文人の霊力を統合していた巨大銅鐸・オモイカネを再鋳造したものだった! 炎上する大仏殿のなかで、神子たちの祈りにより、大仏は、本来の姿・オモイカネへと戻っていった・・。
 オモイカネを得、時は満ちた。大いなるマツリを現実のものとするためには、オモイカネ以上に巨大な依代(よりしろ)が必要だと考えた神子は、折から迫る巨大台風のエネルギーを利用し、オモイカネを媒介として、海底に眠る戦艦大和の破損部分を再物質化し、海上へと引き上げた!!
 そしてついにマツリは始まった。北海道と沖縄を起点に、現代のシャーマン・神子に率いられた民衆は、かつて火山を愛した縄文人のスピリッツを復活させ、進撃途上の火山を次々と噴火させつつ東京を目指す。海では戦艦大和の巨砲が火を噴く。沖縄の米軍基地を一掃したのち、フィリピンから迎撃に来た米艦隊を撃破。東京湾口の海上自衛隊の阻止線も突破した。
 大混乱に陥る政府首脳。鳴動を始める富士。はたしてマツリの結末とは・・。

 以上、自分でも書いていてスゴい、と思いましたが、初めて読んだみなさんは、それ以上に「なんじゃそりゃ?」と思われたことでしょう。しかし、文庫版にして5巻のこの物語は、歴史や科学のデータを駆使し、そして星野氏一流の大胆な解釈をズバズバいれることにより、荒唐無稽の極致のごときストーリーに恐るべきリアリティーを吹き込むことに成功している(と思います)。
 「三日月情話」で放映されなかった(といわれる)皇居のシーンのことはご存知かと思いますが、この作品では、悪役である仏僧が、おもいっきり皇居から出てくるシーン(コマ)があります。また、クライマックスでは、皇居上空を戦艦大和の艦砲射撃が飛び交った挙句、富士山の噴火で皇居の壁がガラガラ崩れたりします。
 出版元がなぜか潮出版だったりする謎もありますが、「縄文vs弥生(≒出雲族vs騎馬民族)」テーマの究極コミックともいえる本作は、「三日月」ファン必読かも?

 文庫版(5巻)、レギュラー版(6巻)が堂々発売中


 



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